(上の写真はユーラシアカワウソの「もも」と「さくら」)
上野動物園には2種類のカワウソがいます。ユーラシアカワウソとコツメカワウソです。
特に気にしなければ、「あ!カワウソだ。カワイイね〜」で通り過ぎてしまうかもしれませんね。でも、実は異なる2種類のカワウソがいるんですよ。
上野動物園のユーラシアカワウソ2頭は姉妹で、ももちゃんとさくらちゃん(お母さんはチロルちゃん)、2012年6月2日に生まれました。
アクリル水槽にぷかぷか浮いて、だらーんとのんびり過ごしていました。
水中で泳ぐときには、後ろ足の指の水掻きを広げてスイスイと泳ぎます。
ユーラシアカワウソとコツメカワウソの違い
ユーラシアカワウソとコツメカワウソはどちらもカワウソの仲間ですが、違いがあります。
個人的には、ユーラシアカワウソの方が動きがゆったりしていておおらかなイメージをもっていますが、どんな違いがあるのでしょうか。
体の大きさ
コツメカワウソは体長約40~60cm、体重3~6kgほどで、カワウソの中で最も小型で、ペットとしての人気らしいですが、野生動物をペットにするのはあまり賛成ではありません。
一方、ユーラシアカワウソは体長約60~90cm、体重5~12kgほどで、コツメカワウソよりも一回り大きいです。頭が平らで胴が長く水の抵抗を受けにくい体型ですね。
爪の違い
コツメカワウソは哺乳綱食肉目イタチ科ツメナシカワウソ属に属し、爪が退化して小さいのが特徴。よく見ると手先が丸っこくて水掻きが発達しているように見えます。
一方、ユーラシアカワウソは、ヨーロッパカワウソとも呼ばれ、哺乳綱食肉目イタチ科カワウソ属に属し、伸びた爪がはっきりと確認できるし、指が長めに見えます。指の間の水掻きも発達しています。
生息地
コツメカワウソは東南アジアやインドなどの熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。河川や湖沼、湿地帯などに住みます。
一方、ユーラシアカワウソは北半球の温帯・寒帯地域に分布しています。
日本では北海道にニホンカワウソという亜種がいましたが、1979年(昭和54年)を最後に目撃例がなく、2012年(平成24年)に絶滅種に指定されました。
なんだか悲しい…
食べ物
コツメカワウソは魚やカエル、貝類・甲殻類などを食べます。
何度かコツメカワウソの食事シーンを見かけましたが、かわいらしい見た目に反して、尖った丈夫な歯を見せながら硬いものを噛み砕いて食べます。食べ方はワイルドです。
一方、ユーラシアカワウソは魚だけでなく小動物や鳥類なども食べます。お食事シーンはまだ見たことはありませんが、コツメカワウソと同じく丈夫な歯を持っているんでしょうね。
家族構成
コツメカワウソは10~15頭の家族で群れを作って暮らします。
一方、ユーラシアカワウソは単独か、夫婦で暮らすことが多いようです。
カワウソは絶滅危惧種
コツメカワウソは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「危急種(VU)」に指定されています。
ユーラシアカワウソも、毛皮をとるための乱獲や水質汚染によって激減して、IUCNのレッドリストで「準絶滅危惧種(NT)」に指定されています。
上野動物園にいる動物の多くは、このように絶滅危惧種となっています。
カワウソ記念日
「国際カワウソ生存基金(The International Otter Survival Fund)」が、毎年5月の最終水曜日を「世界カワウソの日」に指定し、カワウソ類の保全を呼びかけています。
カワウソたちがここまで減少してした理由は、人間による乱獲、水質汚染、水辺の開発など。ペットとして人気が出たことも密輸につながってしまったようです。
コツメカワウソは、2019年にコツメカワウソはワシントン条約で国際的な商業取引は禁止になりました。
このような背景を知って動物たちに会いに行くと、色々と考えさせられます。